整理標準化データIPCについての小ネタ
特許の検索や集計をする際に筆頭IPCを利用される方もいるのではないだろうか。
役には立たないかもしれないけれどそれに関する小ネタ。
整理標準化データではIPCは出願マスタに含まれていて「公開IPC(un-examined-ipc)」と「公告IPC(examined-ipc)」で分かれて記録されている。これは見たまんま公開時のIPCと登録時のIPCを意味している(公告制度は今はないがこの名称が今も利用されている)。このことは jplat-patでも確認できる(下記は2009年出願案件)。
ここで注目したいのは上記の件で筆頭IPCが変化していることである。ご存じの方も多いと思うが、公開公報のIPCと登録公報のIPCが違うことはたまにある。理由としては
① 補正などによってメインクレームの技術分野が変わってしまう
例)画像処理方法(G06T)が撮像装置(H04N)に変わった
② IPCの分類体系の変化
例)いわゆるビジネスモデル系 G06T17/60 -> G06Q50/~
③ 審査官による再付与
審査官が審査後により適切と思われるIPCに付与し直した
サーチャーでも着手当初の見込みが違うことはありますよね!?
などがある。
たまにあるといっても具体的にどれくらいか気になったので手元にある出願データ(約1400万件)について調べてみた。するとサブクラスレベル( 4桁 例えば G06T)で公開時と登録時で違うものは 約25万5千件。割合にすると約1.8%程度なのでやはり「たまに」という位の頻度。ただし公開と登録の両方にIPCが付与されている文献は約439万件なのでそれを考慮すると 6%位にはなる。
なお、商用データベースNRIサイバーパテントデスク2でいろいろ試してみると「筆頭IPC」では公開、登録の区別なくヒットしたので漏れの心配はなさそうである。いずれかにヒットするようにしているのだろう。
というわけで結論としては公開、登録の区別を気にしなくても特に問題なし!ただしちょっと思ったよりは多めにヒットするということで、結局知らなくても影響はないという話でした。。。
ちなみにFIは出願情報(出願マスタ)とは別にサーチマスタという別のデータで管理されていて、こちらには出願単位でFI,Fタームが記録されるので公開、登録の区別はない。自分の経験や聞いた話で不正確ではあるが、FIは過去の履歴は残したままになるはず。更新前で、もはやパテントマップガイダンスでも参照できないようなものもFIデータには残っていることが多い。