トモロログ

仕事や趣味でのメモや記録など

「一発リンクトモロヲ君」の思い出

「退屈なことはpythonにやらせよう」のまえがきに筆者の友人の経験談についての話があった。

 その友人は大学時代、家電量販店で他店と自店舗の価格比較を紙ベースで突き合わせて比較し、競合店の方が安い商品をピックアップするという作業をしていた。そしてその作業に丸2日かかっていた。そして別の友人からの助言でデータを処理するプログラムを数時間で作成し、作業は数秒になった。とのこと。

 

 これを読んで自分が特許業界に入ったすぐの時のことを思い出した。まだ何も業界のこともわからず右往左往しながらときに手を持て余すこともあった。そんな時アルバイトの人がエクセルで何か一生懸命作業しているので聞いてみると、公報のPDFにハイパーリンクを張っているとのこと。その件数3000件。その2か月前までプログラマだった私は衝撃を受け「なにをしとるんじゃ~」と思い、そして自分でもこれなら役に立てると思い、上司にその仕事を引き受けさせてほしいと願い出た。そしてまったくエクセルのVBAを触ったことはなかったが、ネットで調べながら自動的にリンクを作成するマクロを作成した。作業は数秒になった。

 意外に他の同僚にも好評で配布することになり、ファイル名を「一発リンクトモロヲ君」と名付けて配布し、自身が退職するときにもファイルは配布していたのでそのまま残った。

 

 それから十数年後のつい先週(上記の書籍を買う数日前)に特許情報フェアで当時の同僚(今もその会社にいる人)に偶然会った。久しぶりなのでちょっとお茶でもと誘って話していると他の同僚だけど私が退職後に入社した、会ったことのない方が合流した。するとその方が「あのトモロヲ君の作者ですか~、お世話になってます!」というではないか。なんとまだ現役で使われているらしい。なんか恥ずかしいやらおかしいやらいろんなことを思ったが話は盛り上がった。一番おかしかったのが「名前にインパクトがあって忘れない」ということだった(ファイル名変えてないんかい!とは思った)。

 どうやら私が手を持て余して作ったトモロヲ君は私のいないところで多くの「退屈なこと」をやったらしい。

 

 で、そのインパクトのある名前も当時は「またまたふざけて~」「サムい」などいろいろ言われたのだけど結構思い入れがありまして。

 その昔プログラマ時代にとっても火を噴いているプロジェクトがあって、時間的にも肉体的にも限界に近い状況。あるときデータベースの処理に皆困っていて、プロジェクト側の身内で使うツールが必要となったものの、だれも手を出せない状況。そんな中、一番忙しいはずのリーダーから「たまにはプログラムしたくてね~、こんなんつくちゃったよ」とエクセルVBAで作ったファイルが配布された。その出来は素晴らしく、そしてどこにそんな時間が?わずかしかない自分の時間を皆のために使ったのではと驚いた。そしてそのファイル名は皆に気を使わせないようにしたのか真意は定かではないが「一発タナカ君」。

 その精神を少しでも受け継げたらと思って特許業界新人のときに思って付けた(パクった)ファイル名なのだった。

 

 あれから十数年。自分で使うことはないがその気持ちを忘れないようにと「一発リンクトモロヲ君」はPCを買い替えても中に置くことにしている。そして一人会社となった今、手助けする同僚はいない。

 

トモロヲ君の画面紹介

 デザインはいまいち。。ほしい人がいたら許可もらって配布しようかな。

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 正規表現を使ってファイル名のパターンを自由に定義できるように対応

 どのデータベースのファイルでも外国の公報でも対応できる。

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